十年後のあなたへ
「百歳になったら、もう一度赤ちゃんになるの」。四月に六歳になったばかりのあなたは、最近よく哲学的な質問を口にします。「なぜ英語ではお米(ライス)をチョコと言わないの」「なぜぼくはヒロム(弟)ではなくタケホなの」。親にも答えられない問いかけばかりです。
一ヶ月前、母親がはじめて四泊五日の出張に出掛ける前、そのことを打ち明けると「やだ、ぼくも一緒に行くよ」と泣き、やがて前日夜「今日からぼくがママになるよ」と言い、お風呂で弟を洗おうとして勢いのよすぎるシャワーを浴びせ、大泣きさせていたあなた。母親が出張先のホテルから送ったひらがなだけのファックスを壁に貼り、花マルをつけて待っていてくれたあなた。あなたと過ごす今日そのものがいつも意外と驚きにみちていて、実は、とても十年後を想像することが出来ないのです。
ただ思うのは、一生の宝物となるような子供時代であればよいな、ということ。また、来年から小学校で習うことはしっかりと身に付けて欲しい、ということ。小学校の先生だったあなたのおばあちゃんは「人は、小学校での勉強をしっかりと自分のものにしていれば、一生困ることはない」と断言していました。あとは、緑、青、ピンク、黄色、オレンジと様々な色の風船をふくらませてもらって喜んで、「どの色が好き」と聞かれて「ぜんぶ好き」と答えるその優しさをいつまでも持っていてほしい。
これからしばらくの間、大切な時を一緒に過ごしましょう。あっという間に「十年後のあなた」になっていることでしょう。「大きくなったら、こんどはぼくがパパのママになってあげるね」。こんな名言をいつまで聞けるのでしょう。
宮崎 武甫くんのお母様より
キッズNews5月号はPDFをクリックしてご覧下さい。